Krosa

兵庫県在住の社会人(6年目)が、日々の出来事を日記感覚で綴ります。

音響外傷

爆音を楽しむイベントに参加したボク。
予想以上の爆音だったようで、終演直後から酷い耳鳴り音籠りに襲われました。
これまでに参加したライブではこんな事態になったことがないので、不安になりました。
しかし、終演したときには22時を過ぎていたので、もう大人しく家に帰るしかなく、「ぐっすり寝れば治るだろう」とポジティブに考えることにしました。

しかし、翌朝になって目が覚めたとき、はっきりと耳鳴りが聞こえるのがわかりました。
音籠りはかなり改善されていましたが、耳鳴りについては、何をしていてもはっきりと聞こえるほどの大音量でした。

これはマズいと思い、すぐさま耳鼻科に向かいました。
今までの人生で、少なくとも耳の方でお世話になったことはない耳鼻科。
こんな日が来るとは思っていませんでした。

耳鼻科では、まず聴力検査をしました。
すると、4000 Hzの音がほぼ全く聴こえなくなっていました。
医者によると、典型的な音響外傷であるとのこと。

音響外傷とは、大きな音を聴いたことで耳がダメージを受け、難聴や耳鳴りなどを起こすことです。
ちょうどライブでよく聴く音が4000 Hz付近らしく、その影響で4000 Hzの音が聴こえなくなったみたいです。

とりあえず、ステロイド剤や循環改善薬を飲んで5日間様子をみることになりました。
もう不安しかありませんでした。

家に帰り、大学に行ってから音響外傷について調べていると、「完治は難しい」や「耳鳴りと一生を共にする」といった恐ろしい情報ばかりが出てきて、余計に不安は増しました。

自分にできることといえば、用法・用量を守って完璧に薬を飲むこと、耳を休めること、よく寝ることぐらいでした。
薬は、必ず食後5分以内には飲み、水で飲むことも徹底しました。
耳を休めるということで、テレビの音量は極力絞り、イヤホン禁止、カラオケ禁止、映画館禁止、ライブ禁止など、とにかく自然と聞こえてくる音以外はシャットアウトしました。

睡眠については、寝るときが1日の中で最も耳鳴りがうるさい時間で、イライラする日々でしたが、幸いにも寝つきはいいので、眠れず朝を迎えるといったことはありませんでした。
しかし、発症から3日間ぐらいは、耳元でセミが鳴いているような耳鳴りが続きました。
睡眠時間は、8時間以上をキープしました。

音響外傷を発症して4日目ぐらいには、高音が聞こえるようになってきました。
何をもって判断していたかというと、部屋の照明やエアコンのオンオフの際に鳴るピッという音。
そういえば、ライブから帰ってきた日はピッという音が全く聞こえてなかったなというのを思い出し、聴力が少しずつ回復していることにホッとしました。
しかし、耳鳴りについては、小さくなったものの、完全に止むことはありませんでした。

で、この頃から「音楽や電子音が半音ぐらい低く聞こえる」という現象が起こり始めました。
よく知っている曲や電子音が耳に入ると、記憶の中の音よりも低く聞こえるのです。
これは地味な変化に思えますが、いろんな音が不協和音のように聞こえるので、意外とダメージが大きかったです。

また、難聴の人にありがちな聴力過敏も起こりました。
聞こえない周波数の音を聴くために感度を上げた結果、その他の音まで必要以上に聞こえてしまう現象です。
大きな支障をきたしたわけではありませんが、超音波みたいな高音がやたらと気になるようになりました。

そして、5日間が経過し、再び耳鼻科へ。
聴力検査の結果、4000 Hzを含め、ほぼ通常の聴力に戻っていました。
音が低く聞こえることも話しましたが、「まだ完全によくなっていないからだろう」とのことでした。
ステロイド剤の量を減らし、もう1週間だけ薬を飲むことになりました。

気分の問題か、ときどき高音が聞こえ辛いと思うこともありましたが、この1週間でかなり改善しました。
半音低く聞こえる現象や聴覚過敏も、発症から10日を過ぎた頃には治りました。
耳鳴りも、ピタリと止まることはありませんでしたが、耳を塞がないと聞こえないぐらいにはなりました。

薬が切れた段階で、再び耳鼻科に行くか悩みました。
医者には、「薬が終わったときに症状がよくなっていれば、もう来なくてもよい」と言われていました。
耳鳴りはストップしていなかったので、もう一度行こうとも思いましたが、母の「耳鳴りを気にしすぎる方がよくない」という言葉が引っ掛かりました。
確かに、耳鳴りはストレスの影響も大きいようで、気にしないのがいいというのもネットで見たことがありました。
悩んだ末、耳鼻科には行きませんでした。


そして、音響外傷になってから1か月以上が経った今。
リハビリも兼ねて、徐々に禁止していたことに挑戦しました。

まず、イヤホンを解禁。
最小音量から出発し、1日1ボリュームずつ上げていきました。
現在は、以前ほど大きな音で聴かないようには注意しつつ、普通の音量で問題なく聴けています。

続いて、カラオケ。
発症から3週間での解禁で、少し緊張感はありましたが、何も異常はありませんでした。

そして、つい数日前には映画館で映画を観てきました。
こちらも少し不安でしたが、全く問題なく終わりました。

あとは、ライブをクリアできれば、もう大丈夫でしょう。
このままいくと、来月に発症後初のライブ参加となりそうです。
念のため、耳栓を持っていきます。


結局、耳鳴りだけが完治しませんでした。
発症から1か月が勝負だそうで、それを過ぎてしまった今、もう完治することはないのかなと思っています。

しかし、寝るときでも耳を塞がないと聞こえないぐらいの小さな耳鳴りなので、日常生活には全く支障はありません。
それに、一時的ですが、耳を塞いでも耳鳴りが聞こえないときもあります。
何だか不思議な現象ですが、嬉しい瞬間です。


そもそも、音響外傷になる前は、聴力や耳鳴りについて考えたことがありませんでした。
もしかしたら、今ぐらいの耳鳴りは既に聞こえていたのかもしれません。
しかし、もはや確認する術もありません。

やっぱり、耳鳴りは気にしすぎないことが大事なのだと思います。
幸運にも、気になるほどの耳鳴りが残ったわけではないので、これからも仲良くやっていきたいと思います。


爆音イベントへの参加と引き換えに、非常に大きな絶望と地獄を味わいましたが、これも人生の勉強の一つだと思い、素直に受け入れることにしました。
みなさんも、普段は耳や聴力のことはあまり考えたりしないと思いますが、死ぬまでお世話になるものなので、耳のことをいろいろ気遣ってあげてください。