Krosa

兵庫県在住の社会人(6年目)が、日々の出来事を日記感覚で綴ります。

変身 (東野圭吾)

※ネタバレ注意!


バイトの行き帰りに利用するバスの中で、毎日読書をしています。
往復合わせて1日70分ぐらいではありますが、1週間となると、文庫本1冊を読み終えられます。
それはまた、バイトで忙しい平日における、至福の時間でもあるのです。

夏休み中に3~4冊」という読書目標は、知らぬうちに達成し、今回で5冊目に。
東野圭吾さんの「変身」を読みました。
 
イメージ 1
大人しくて気弱な主人公・成瀬純一
ある日、彼は強盗事件に巻き込まれ、頭を銃で撃たれてしまう。
右脳を損傷した純一は、世界初の脳移植手術を受け、一命を取り留めた。
だが、順調に回復していくと思われた彼に異変が。
なんと、猟奇的で凶暴になり始めたのだ。
純一自身も、次第に進む人格変化を止めることができない。
彼は、人格形成が移植された脳片による影響だと考え、脳移植手術のドナーについて探っていく……。

この作品の大部分は、純一の主観的な視点で描かれていますが、純一の周りの人による客観的視点で描かれた彼の様子も、所々に挿入されています。
すなわち、読者は2つの側面から彼の「変身」を見届けることになるのです。
このような表現の仕方が、純一の変わり様をより浮き彫りにし、緊張と恐怖を与えてくれました。

物語を読み進めていくほど、やはり純一の変身ぶりに驚かされます。
彼の「僕」という一人称は、あるとき「俺」に変わるし、虫も殺せなかったほどの臆病者が、遂には人を殺してしまう……。
しかも、その変化を自力で食い止められないとなると、もうお手上げですよ。

あと、ラストは悲しい結末
誰も救われない話です。
ただ、最後の1行を見て、「彼の結末は本当に正しかったのかな」と考えさせられました。

毎度ながら、東野さんの作品は深いですね。
今作を読んで、「人を救うための『医学』でさえも、常に正しいわけではない」と感じました。
何事も限度があるのです。

では、評価に移ります。

評価: ★★★★★★☆☆☆☆

秀作ではありますが、ボクが読みたい内容ではなかったかな。
もっと明るい話を……。(笑)

来週からは、江戸川乱歩賞の最終選考まで残った、東野さんの「魔球」を読んでいきます。
 
 
東野圭吾作品 読了リスト (2012/4 -)
 
01 放課後 (2012/5/10 - 2012/5/31)
15 宿命 (2012/8/9 - 2012/8/21)
18 変身 (2012/9/10 - 2012/9/14)
30 あの頃ぼくらはアホでした (2012/6/21 - 2012/7/4)
33 名探偵の掟 (2012/7/24 - 2012/8/8)
44 片想い (2012/8/28 - 2012/9/8)
48 時生 (2012/6/1 - 2012/6/21)
49 ゲームの名は誘拐 (2012/8/23 - 2012/8/28)
65 流星の絆 (2012/7/5 - 2012/7/23)
73 あの頃の誰か (2012/4/10 - 2012/4/24)